通常の日帰りバックカントリーなら無理に山用ウェアを買わなくてもゲレンデ用でかまいませんが、山用ウェアの方が快適に過ごせます。
ゲレンデと何が違うかというと、バックカントリーには登り(ハイクアップ)があるということです。
気温がマイナスの冬山でも、登りの時には体温が上がり汗がでます。バックカントリー用のウェアは透湿発散(汗を吸いとって外に逃がす)性能に優れています。
雪山では暑いからといっておいそれとアウターを脱ぐわけにはいきませんが、かといって汗をかいて体やウェアが濡れたままでは危険です。
そこで、透湿性に優れたウェアが必要になるわけです。
最近のウェアはレイヤリング(重ね合わせ)という考え方で成り立っています。
ファーストレイヤー ミドル アウターの3枚の服の重ね着です。
一番下に着るファーストレイヤー(ベースレイヤー)は肌に密着する薄めのインナーです。一番の目的は、体の表面に汗をためないように吸収して外側(ミドルレイヤー)に引き渡します。
ミドルレイヤー(ミッドレイヤー)(中間着)は一般にフリースなどです。
吸湿発散性も備えてなおかつ充分な保温性が必要になります。
ただ暖かいだけのフリースならば製造コストも安く、お手軽に手に入りますが、汗を外に逃がす、軽い、フィットして動きやすいなどの機能がありません。
もちろん、最初の入門の時にはユニクロなどのフリースでもかまわないと思います。
そして一番の外側のアウターはシェル(殻)という表現をされるように、アウターの内側と外の環境との遮断が目的です。
理想的なのはゴアテックスやその他に代表される防水透湿素材のように内側の水分は外へ発散させ、逆側は遮断することです。
防水性重視のハードシェルと透湿性重視のソフトシェルなどがあります。
大雑把にいうと
ハードシェル=たとえ雨でも大丈夫。ソフトシェルに比べると暑い。内側に汗が溜まることも。
ソフトシェル=汗が発散しやすい。反面、ミゾレやボタ雪だと水がしみてくることも。
という違いがあります。
バックカントリー用のアウターのほとんどは、保温素材が付いていないか、ごく薄いものが付いているだけです。
外気との遮断が目的で、保温性はミドルレイヤーに任せています。
基本は上記のインナー、ミドル、アウターの3層にして他に予備の防寒着などを用意します。
食事休憩などで立ち止まると一気に体が冷え込むので、ザックから出して着込みます。
ダウンや化繊の薄手のジャケットやベスト、保温素材付きのウィンドブレーカーなど、天候や標高、自分の体の基礎代謝などをあわせて考えながら決めて生きます。
吹雪で足止めをくらったり、遭難をした時には予備着は非常に重宝します。
下着やインナー、靴下などに共通して言えるのは木綿の製品を避けることです。
木綿は繊維自体が水を吸ってしまうので、一度濡れてしまうと中々乾きません。
化学繊維やウールなど速乾性のものを使用します。
上記はあくまでも一般的な例です。
人によって暑がり寒がりがありますし、汗のかき方も違います。
回数を重ねながら自分にあったスタイルが出来てくると思います。
こういったバックカントリー用と言われるウェアは非常に高価です。
最初からそろえようとすると、かなりの高額な買い物になります。
ゲレンデ用や一般スポーツ、レジャー用から使えるものは流用していき、徐々に自分のスタイルや予算に合わせてそろえていくのがベストです。
流用できるかどうかのポイントは、値段ではなくそれぞれの役割にみあった機能があるかどうかです。
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