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バックカントリー 豆知識〜ちょっとした小ネタ

山でアクシデントに遭ってヘリコプターによる救助をされるとき、混乱している現場ではどんなことをしたらいいかが、なかなか判らなかったりします。
救助を円滑にして、2次遭難を防ぐために憶えておきましょう。

バックカントリー考察

 

 
 

●ヘリコプターを呼ぶ時のマナー
 

・ヘリが出動可能な条件
ヘリコプターはそんなに万能な乗り物ではありません。出動の可否は気象その他の条件に大きく左右されます。
携帯や無線などでヘリの救助要請をした時には、現場の状況を正確に伝えましょう。

 1.視界
ヘリコプターは基本的には有視界飛行です。
視界が取れなければ、せっかく出動しても現場上空で戻るだけになります。
霧やガスが出ている場合は、どれぐらい先まで視界がひらけているかを報告しましょう。
50〜100m以上先が見えなければ、まず無理なことが多いです。

 2.風速
ヘリコプターは垂直離着陸やホバーリングなど、非常に便利な飛行ができますが、反面非常にデリケートな乗り物です(空を飛ぶ乗り物は殆ど全てがデリケートだとは思いますが)。
風速が強いと、やはり地面に近づくことはできません。
機種やパイロットの熟練度や地形によって、出動可能な風速は変わるとは思いますが、現場での風の状態をできるだけ正確に伝えましょう。
大体の風速判断の目安ですが
風に向かって歩きにくく感じる程度=風速12〜15m位。
立っているのが大変=風速20m位。

 3.地形
せっかくヘリが来ても、着陸もしくはホバリングしてワイヤーを降ろすことができなければ意味がありません。
ヘリによる救助が難しい地形として
樹林帯
空から現場を見つけるのが困難。現場を見つけられたとしても、ヘリコプターから降ろすワイヤーの長さには制限があり、木が高いと不可能。

崖のすぐ下など
切り立った崖のそばでは、ヘリも近づくことができません。

急傾斜地で石がゴロゴロしているような場所
ヘリコプターのダウンウォッシュ(風圧)で石が落ちてくることがあります。

*山岳遭難では、広い草原のような場所で非常事態が起きることは少ないと思います。
恐らくは上記の地形の条件どれかには当てはまってしまうでしょう。
可能な範囲でかまわないので、なるべく広く、緩やかで、安全な場所に移動するのが好ましいです。

樹林帯にいる場合、森林限界が近いことも多いと思います。
周りにひらけた地形が無い場合、できれば少し登ってでも森林限界まで移動したほうがいいでしょう。

また、ガスで視界不良な場合、標高を100mかそこら下がればガスが晴れている場合もあります。
見極めて下に移動する努力をすべきです。
しかし負傷者の悪化や、救助者の2重遭難などの危険性は避けてくれぐれも慎重に行動してください。

・ヘリを呼んだ後の準備
ヘリコプターが到着を待っている間にしなければいけないことがあります。

飛散物の除去
ヘリコプターの風圧は想像以上に強力です。
もしも、何かがヘリのローターに絡まったり、エンジンに吸い込んだりしたら、ヘリが墜落してくる可能性もあります。
とんでもない2重遭難が発生してしまいます。
事実、ヘリレスキューの先進国であるアメリカでは、救助ヘリの事故が深刻な問題にもなっているそうです。

そういった事態にならない為にも、飛んでいきそうなものをザックにしまい、そのザックをさらに飛ばないようにしましょう。
バックカントリーでは、スキー板やストックなども危険です。
雪山では、重りになる物の類は調達しにくいでしょうから、雪に埋めたり自分の体で抑えるなど工夫してください。
申し訳程度に雪を被せた程度では、ほとんど意味がありません。
半分ほど雪に埋めたボードが、勢いよく飛んでいきそうになったりします。
しっかり、雪に埋めたり差し込んでください。
その辺に散らばっているものだけでなく、自分が身に付けている帽子やサングラスなども仕舞いこみましょう。
ザックに簡単にくくりつけてある程度のアイテム類もしっかり固定するか中に入れ、飛びそうなものは、片っ端から徹底的に固定したり片づけましょう。

交通整理
道迷い遭難だったら、他のグループとかぶることは無いと思いますが、雪崩やケガなどで救助を呼ぶ場合は、周囲に他のパーティがいることも多いと思います。
これが人気のあるルートで週末だったりした場合、現場が大渋滞になることも。
ヘリに安全に降りてきてもらうためには、現場から半径50mほどの中に他の人が立ち入らないようにしないといけません。
適度な地点に人をやって、ヘリコプター接近とともに通行止めにします。

豊後ピートさんのBlogよりの引用:「遭難救助だ!まもなくヘリコプターが来るぞ!!」と叫んでも理解しない人がけっこういます。「まだ大丈夫だろ?」と言って強引に突破しようとする、ものすごく非協力的な人も定番です。ですから、止めるときは「何が何でも」止めるようにしてください。弱気な人を交通整理に出してはいけません。

 

・ヘリが接近してきたら
ヘリコプターが遠くに見えてきたら、こちらからも現場がどこにあるのかを知らせる必要があります。
救助要請の合図は手を振ることです。
これは、万国共通のSOSサインです。
ですので、山でヘリコプターを見かけたからといって手を振るのはやめましょう。
遭難者と間違わる可能性もありますし、もしも遭難者を救助に向かっている最中のヘリコプターが、間違えてこっちに来てしまったら救助の邪魔をしたことになります

手を振る場合は両手を振るのが基本です 。
気をつけなければいけないのは、周囲の人がみんな手を振ると、ヘリコプターからでは誰が遭難者なのかわからないと言うことです。
道迷いなどで単独で遭難した場合は周囲に別グループはいないと思いますが、一般的なルート上で負傷や雪崩などにあった場合は、周辺に別のパーティがいることも多いと思います。
手を振るのは、要救助者の周囲だけにして、周辺のパーティには手を振らないように要請しましょう。

・ヘリが到着したら
ダウンウォッシュ(メインローターが下に向かって吹き付ける風)に気をつけましょう。

ヘリの大きさでも変わると思いますが、 まともに立っていられなかったりします。

豊後ピートさんのBlogよりの引用:『大型ヘリともなると、空のドラム缶が勢いよく転がっていったり、ベニヤ板が宙を舞います。とあるヘリコプターは、山小屋の屋根を飛ばしたという伝承が残っているほどです。

自分自身の安全はもとより、周囲にある物が飛散しないように押さえつけましょう。
スキー板やストック、ザックなども例外ではありません。

通常は救助隊員が降下してきます。隊員が楽に降りられるように、平らなところを空けておきます。
後は救助隊員の指示に従いましょう。

バックカントリーのフィールドでは、ヘリが着陸できる状況は少ないと思います。
恐らくはワイヤーで吊り上げられることが多いでしょう。
ハーネス着用やとフックとの固定などは救助隊員がおこなってくれるでしょうから、割愛します。

着地したヘリコプターに乗る時、または降りる時の非常に大事な注意点があります。
「ヘリコプターの後ろには近づかない 」
ヘリの後ろ半分はパイロットから死角になる上に、テイル・ローターが高速で回転してますから非常に危険です。
パイロットから見える範囲内で移動しましょう。

また、ヘリの後ろに回ろうとする人がいたら止めてください。
エンジン音のため、どんなに大声をだしても相手には聞こえません。
体で止めましょう。

・ヘリ帰還後
要救助者をヘリに引き渡したら下山しましょう。
負傷者を救助隊に預けて、残ったメンバーで登山を続行しようというわけにはいきません。
速やかに下山して地元の警察署に出頭し、遭難して救助要請に至ったまでの経緯を報告してください。

この記事は豊後ピートさんのBlog内の記事より、抜粋許可をいただいたて記載しています。
北アルプスのパトロールという観点から山岳関係の為になるネタが書かれています。
僕のサイトよりもはるかに勉強になります。
 

バックカントリー_フィールド




個人の趣味の範囲内のサイトですので、間違いや抜けている部分なども出てくると思いますが
もしも間違いなど見つけていただいた場合はご連絡ください

   
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